【雨を待ち遠しく思えるようになる】映画『言の葉の庭』レビュー
映画『君の名は。』のヒットにより、新海誠監督作品をみあさっています。
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言の葉の庭 ※ネタバレ注意
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○あらすじ
高校1年生になって2か月。15歳の少年タカオは、雨の朝は学校をさぼり日本庭園で大好きな靴のスケッチを描くのが習慣になっている。ある朝ベンチで社会人の女性と出会い、約束はないものの雨の朝はいつも同じ場所で顔を合わせるのが日課になっていた。やがて、梅雨が明け雨が降らなくなったために、タカオは女性に会う口実を見つけられずにいた。夏休みになり、バイト三昧の日々を終えて9月の学校に向かうと、そこには雨の朝に顔を合わせていた女性がいて…。
○感想
タカオが雨の日に会っている女性は、『ユキノ』というタカオの通う高校の古典教師。わけあって学校に行けなくなり、サボって庭園にいるときにタカオと出会うわけですが、そうしたやりとりの中で「27歳の私は、15歳の私より少しも賢くない」っていう心の中のセリフがあります。これが、なんとも胸に刺さる…。あと、タカオとの会話で「人間なんて、みんなちょっとずつおかしいんだから」って言うところがあるんだけど、これもうーんと考えさせられる。共感するけど、これってきっと自分がうまくいってないなってときにしか気づけない部分なんだと思うんだよね。全てが絶好調で思った通りにことが進んでいる人はこれに気付かないし、だからこそ周囲で苦しんでいる人がいても理解できないんじゃないかなって。苦しくなる部分。
恋愛面でいうと、最後互いに「今が人生で一番幸せかも」と思いながらも、タカオが謙虚に告白し、教師としての理性から引き留めないユキノの描写が素敵。からの、激しい罵倒と本音の吐露。結局、年齢なんて関係なく人間はいつだって悩むし、いつだって真剣に恋をするんだなぁと思わせられるラストシーンです。これもめちゃめちゃハッピーエンドではないんだろうけど、好きな物語です。