【ミステリーだと思って読むとビックリする】悲嘆の門/宮部みゆき(毎日新聞社)
11月に入ったばっかりだと思っていたのに、あっという間に1週間!読書の秋…というよりも、最近はめっきり冬ですね。
悲嘆の門 上/宮部みゆき(毎日新聞社)
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〇あらすじ
死体の一部を切り取るという連続殺人事件の3件目が発生。高校サッカー部OBに誘われ彼がおこしたサイバーパトロール・クマーという会社でバイトをしている大学生の孝太郎は、犯人の情報を集めるべく先輩の森永とともにバイトに勤しんでいた。二人はバイトでの仕事以外に、学校裏サイトでいじめられる近所の中学生を心配したり、ホームレスが街から姿を消していることを心配し調べていた。ある日、ホームレスの行方を心配した森永がその操作中に行方不明となり、孝太郎は森永を探すために彼のケータイが見つかったビルへと向かった。そのビルは、屋上にあるガーゴイル像が夜中に動いているという噂のあるビルだった。
悲嘆の門 下/宮部みゆき(毎日新聞社)
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〇あらすじ ※ネタバレあり
連続殺人事件の5件目が発生。殺されたのは、孝太郎の働くクマーの女社長・山科だった。憧れだった女性を殺されたことで、怒りが爆発した孝太郎は何が何でも自分の手で連続殺人犯を捕まえたいと考えるようになる。そして、森永を探しに行った夜、出会った『この世のものではない』女戦士・ガラと取引をし、その人の紡いできた『言葉の蓄積』が見える力を手に入れた。連続殺人犯の犯人は?森永は無事に戻ってくるのか?学校裏サイトでいじめられていた近所の中学生・美香への危険は終わったのか…?
〇感想
この『悲嘆の門』、『英雄の書』という本の続編なんだとか。きっと、この『英雄の書』を読んでいればすぐにファンタジーと気づくんだろうけど、あいにく私は未読だったのでミステリーと信じてやまずに読み始め、上巻の途中でビックリしました。突然『この世のものではない』女戦士が現れるからです。その描写が出てくる直前まで、「人間ではないようなものが存在してるように描かれてるけど、どういうオチが待ってるのかなー」なんてのんびり構えていたので本当に人間じゃないとわかって「…え?」と固まる私。しばらくしてから事実を受け止めましたが、そこから先はゲームのような感覚で読み進めました。
とりあえず『英雄の書』を読んでいなくても、まったく支障なく読める本です。前後してしまいましたが、このあと『英雄の書』読んでみようと思います。英雄の書の登場人物が悲嘆の門にも出てくるようなので、前作ファンの方は嬉しい続編なのかも。ちなみに、ミステリーの答えにつながると思っていたタイトルの『悲嘆の門』も思いっきりSFファンタジーの世界の言葉でした。
大きい枠としてはSFファンタジーですが、現代らしい『サイバー・パトロール』やら『学校裏サイト』といったものと『男女関係のもつれ』や『嫉妬や人間関係』というはるか昔から変わらない問題が盛りだくさんで、よみものとしてかなりおなかいっぱいになります。言葉を仕事にしている私にとっては、「自分の発した言葉は、その人に蓄積する」というのはものすごく印象深いセリフ。言霊っていうもんね。意識して言葉を発していきたいなと改めて思った作品でした。