【芥川賞作家のゾンビ小説】コンテクスト・オブ・ザ・デッド/羽田圭介(講談社)

2015年上半期に又吉さんの「火花」と芥川賞を同時受賞した作品「スクラップ・アンド・ビルド」は未読なのですが…受賞後の代一作であるこの本を読んでみました。羽田圭介さんの本は初めて読みます。 

コンテクスト・オブ・ザ・デッド/羽田圭介(講談社)

コンテクスト・オブ・ザ・デッド

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〇あらすじ

編集者の須賀は、デビュー10年目の作家Kと渋谷で打ち合わせに向かう途中、スクランブル交差点で女の子を襲うゾンビを目撃する。それからゆっくりとゾンビにかまれた者がゾンビになり各地でゾンビ=変質暴動者が増えていく。それだけでなく、既に死んで火葬後に埋葬されていた文豪たちがよみがえり始め、かまれていない者のゾンビ化も始まった。やがて走れるゾンビも現れ、日本中はパニックに陥る。

Kと同期で久しぶりに小説を発表した美人作家・桃咲カヲル、小説家志望の南雲晶、福祉事務所でゾンビ対策に追われるケースワーカーの新垣、映画館での難を逃れるもその後ゾンビにかまれてしまった女子高生・青崎希。希をかばってゾンビにかまれた同級生…。それぞれの運命は?そして、かまれてもゾンビにならない者、かまれなくてもゾンビになってしまう者の違いとは?

 

〇感想

表紙を見ればわかるのですが、まさかゾンビの小説と思わず読んだので、「え、本当にゾンビの話なの?」と、かなり後の方まで事実を受け入れられずに読んでました。受け入れたあとは、「で…これ、どういうオチが待ってるんだろう」が気になりすぎて一気読み。ゾンビ映画って、なんとか主人公たちが生き残るみたいな話であることが多いのに、この本はどうやらそういうオチではなさそうだったので。

最後まで読んでみて、案の定ゾンビ映画とは違うということがわかりました。ゾンビはあるものの象徴として使われてるんですね。要するに、「こういう生き方してると、ゾンビ(死んでる人)になっちゃうよ」っていう警告です。小説家・小説家志望・編集者がたくさん出てくる話だったので、業界のお話も理解できて面白かったです。

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