【『罪を償う』とは、何なのか】虚ろな十字架/東野圭吾(光文社)

水曜日、王道ミステリーはいかがでしょうか。この方の本は、ミステリーの王道でありながら、謎解きと考えさせられることとで読み終わったとき空っぽになる感じがあります。

虚ろな十字架/東野圭吾(光文社)

虚ろな十字架

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〇あらすじ

11年前、主人公の中原道正はひとり娘の愛美を殺された。その後、一緒にいるのが辛くなったため妻の小夜子とも離婚し、仕事を変え一人で暮らしていた。ある日、中原の勤め先に11年前に愛美の殺人事件の担当刑事だった佐山がやってくる。そして、中原は小夜子が殺されたことを知るが、殺され方が妙であることが気になり、別れてからの小夜子の仕事や人間関係、事件の背景を探っていくうちに様々なことに気付いていく。

 

〇感想 ※ネタバレ注意

最初に書きましたが、王道なミステリーだけど考えさせられます。娘を殺されて「犯人を死刑に」と望み戦うことで保ってきた夫婦の糸が死刑確定とともに切れてしまう。死刑になることがゴールだと思っていたのに、それはゴールではなく通過点だと気づかされて、より苦しくなる。「死にたくない!」「人を殺してごめんなさい!」と言いながら犯人が死ぬことを望んでいるのに「生きているのが面倒になったから死刑でいいや」と犯人に言われると、それは勝利でもなんでもなく、むしろむなしいことに気付いてしまう…。だからといって死刑にせず、犯人が面倒だと言いながらも生きながらえている姿も許せない。一体、どうしたら良いのか。

悩んだ結果、ふたりでいると余計に苦しいと判断し、別れた夫婦。夫はペット葬儀という仕事に関わり、身近で大切なペットの死に向かう人たちに寄り添って生きてきた。一方の妻は、フリーライターとして「死刑廃止」についての自らの意見をまとめ、事件を起こした者に対する刑罰が本当に正しいのかどうかを問うてきた。夫婦はともに遺族ですが、事件を起こす側や事件を起こした犯人に関る家族の人生も描かれていて、「罪を償う」というのがどういうことなのか最後まで考えさせられます。もちおん、答えは出ません。簡単に出せない、ということが答えというか、考え続けろってことなんでしょうね。読みやすいのに、内容は重い、重い物語です。

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