【直木賞・吉川英治文学新人賞候補作品】空飛ぶタイヤ/池井戸潤(実業之日本社文庫)

この方の小説を読むと、サラリーマンになりたくなります。2018年、TOKIOの長瀬智也さん主演で、池井戸潤作品が初の映画化になるようです。

空飛ぶタイヤ/池井戸潤(実業之日本社文庫)

空飛ぶタイヤ (実業之日本社文庫)

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〇あらすじ

走行中のトレーラーからタイヤが外れ、歩行中の母子に激突。子どもはかすり傷で助かったが、母は即死状態の事故が起きる。トレーラーを走らせていたのは、中小企業の赤松運送。使っていたトレーラーは、名門大企業のホープ自動車のものだった。

ホープ自動車による調査結果は「整備不良」。警察からの家宅捜索に遭い、容疑者とされた赤松運送社長の赤松は、調査結果に疑問を持つ。「本当に、整備不良が原因なのか?」事故の真相は。

 

〇感想

フィクションということになってますが、読めば「ホープ自動車」がどの会社のことなのか「ホープ銀行」は、「赤松運送」は?…というところが全て読めてきます。元になっている事実はあるのかと。もちろん、小説と実際の事件の経過は違うのかもしれませんが。

事故に関る全ての人の心理・思惑・非情…様々な人間的な感情がふんだんに盛り込まれています。「これ以上の悲劇はないだろう…」というところに乗っかる中小企業への不遇、中小企業をなめきった大企業の対応、大企業の中でも組織に疑問を持つ人間、捨てる銀行・拾う銀行。…と、働いていればよくある話なのだけど、こんな風に小説にまとめられると本当にサラリーマンってカッコ良いなと思えます。大沢在昌氏が「池井戸潤氏は、集団を描くのが得意な作家」と称してましたが、本当にそう思う。色々な人の立場から視点から、企業だったり働くことだったりを毎度考えさせられます。

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