【男のなんたるを女性が語るハードボイルド小説】孤狼の血/柚月裕子(KADOKAWA)
2016年10月9日
3連休ってことで、この3日間は映画と本の紹介のブログです。
孤狼の血/柚月裕子(KADOKAWA)
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〇あらすじ
昭和63年、広島。新人の日岡は、機動隊から所轄署の捜査二課に配属となった。配属初日、署に向かうと上司となる大上はいない。呼び出されたカフェへ行き自己紹介を済ますと、大上は何の説明もないまま、ある暴力団員と日岡を戦わせ、ケガをさせる。一方で、「気に入った部下しか連れてこない」という店に日岡を連れて行ったりと、日岡は大上のペースに巻き込まれつつもマル暴の仕事を教え込まれていく。そして、日岡が大上と一緒に担当していた暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件を追ううちに、暴力団同士の大きな抗争の渦へと巻き込まれていき…。
〇感想
一気読みしました。実は、柚月裕子先生の作品は初めて。「このミステリーがすごい!2016年度 国内編 第3位」の本、ミステリーというか…濃厚なハードボイルドだよねって思ってたけど、読み切ってからミステリー要素がわかりました。時代設定や登場人物の会話がほぼほぼ方言だからか、普段私が感じる『女性が書いた本に出てくる男性の違和感』っていうのが全然なかったです。むしろ、本当に作者女性?って疑うくらいの出来上がり。
プロローグとエピローグを読むと、「あぁ、男の人ってこんな風に成長するのね」「血ってこうやって受け継がれるのね」と胸が熱くなります。本編とプロローグ・エピローグまでの間にあった出来事がエピローグ直前に箇条書きで年表にされているのですが、その淡々とした語りぶりにも心動かされます。久しぶりにどっしりしたハードボイルド読みました。ほんと、おなかいっぱい・頭ぱんぱん。お休みの日、朝からコーヒー片手にじっくり読みたい小説です。