【校閲ガールとリンクする小説】憧憬☆カトマンズ/宮木あや子(日本経済新聞出版社)

しばらくの読書おさめは、宮木あや子さんの本で。

憧憬☆カトマンズ/宮木あや子(日本経済新聞出版社)

憧憬☆カトマンズ

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〇あらすじ ※ネタバレ注意

憧憬☆カトマンズ

後藤、29歳派遣社員。自分探しなんて興味はなく、お金さえあればだれでも入れる「ユーラシア大学」で4年間を満喫し、どう頑張っても就職活動はうまくいかないだろうと判断した結果正社員となった。大学の同級生・中尾と楽しく過ごす一方、会社の元上司と3年間も中尾にも言えない関係(不倫)を続けている。

そんなある日、職場の飲み会で新しい男性が入ってきたことに気づく。その男性は、後藤よりも3歳年下の山内という派遣社員で、後藤自身が音楽マニアだったため山内がバンドのロックTを着ていたことに目を奪われる。後藤は山内をランチに誘ったり、親睦を深める。そんな姿に不倫相手は嫉妬して、面倒なことを言われるようになる。嫌気がさした後藤は、やっと中尾に不倫を打ち明けるのだった。

その後、中尾が中学生野球が見たいと言い出したタイミングで山内が中学生野球のコーチをしていることが発覚。そしてその日をキッカケに、山内と後藤はより仲良くなっていくのだった。
脳膜☆サラマンダー

後藤の親友・中尾は、後藤と同じく派遣社員として働いていたが、そののち人材派遣の会社に正社員として就職した。後藤につないでもらった縁で見に行った中学生野球の少年に失恋したばかりだった後藤のもとに、元アパレル店員店長が転職してくる。村内という名の男性は、イケメンで見た目がホモのようだった。

若い派遣社員の女性から「仕事をやめたい」と相談され、なんとか説き伏せるも、彼女はついに出社拒否し、ハワイに行ってしまう。彼女のワガママだと思っていた中尾だったが、村内が調べた結果、彼女の派遣先の会社にはいわくがありそうなことがわかる。チャラそうだと思っていた村内が、実は仕事に対して真面目なことに気づいた中尾は「人は見た目では判断できない」と反省することになる。

豪雪☆オシャマンベ

後藤と中尾、そして山内と村内の4人は、スノボ(スキー)に行くことになった。スキー場に向かう途中、事故に巻き込まれ中尾の意識がなくなってしまう。中尾の彼氏・村内が付き添い病院へ。後藤と山内は、そのままスキー場へと向かった。

中尾の病院搬送がキッカケとなり、中尾・村内、後藤・山内の2組はお互いの存在の大きさ・大切さに気付く。

南国☆ポリネシアン

後藤の後輩・パティこと松田りか。後藤に「パティシエになるのが夢」と言ったことで、そのあだ名がついた。しかし、本当は下町生まれの実家はたい焼き屋。スイーツは大嫌いで、がつがつした食べ物が大好きだが、自分のイメージを壊さないために「パティシエになりたい」「スイーツ大好き」キャラで可愛く通している。

そんなある日、パティが実家のたい焼き屋で店番をしていると、おすもうさんがやって来て店で一番不人気のパイナップル餡のたい焼きを買っていく。数日後、車にひかれそうになったパティを助けてくれたのは、そのたい焼きを買ったおすもうさんだった。「南国」と名乗った彼にお礼をするべく着物を仕立て、相撲を見に行ったパティはすっかり相撲にはまってしまう。帰りに相撲漫画を全部買い占めて夢中で読んでいる姿を会社の先輩・後藤に目撃され自分の本性をさらけ出すことに。加えて、南国に惹かれる気持ちに戸惑ったパティは後藤に相談し始める。

 

〇感想

宮木あや子さん得意のアラサー女子の連作小説。途中で鑓水が出てきて、ちょっとテンションあがりました。本当に登場人物と同じ世界を生きているような気になって楽しい。

関連:【女子会のエグい会話が満載】野良女/宮木あや子(光文社) 

ちなみにちなみに、校閲ガールで悦子が住んでいる家の1階が「たい焼き屋」なのはご存知でしょうか?実は、この家…パティとその家族が住んでいた家なのです!と、いうことは…今パティとその家族はどこに?と気づくはず。リンクも楽しめる1冊。宮木あや子さんの本、全部読みたくなります。

野良女で、ちょっとえげつないなぁ…読めないなぁ…となった人も、この本なら普通に楽しくアラサー女子の生態を楽しめるはず。ぜひ、一読を。

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