【夢か現実か、偶然か心の闇か】ブラックオアホワイト/浅田次郎(新潮社)
昨日一日ベッドで死んでいたら、かなり体調が戻りました!良かった、無事に週末を迎えました。今日は、勇者ヨシヒコ!!
ブラックオアホワイト/浅田次郎(新潮社)
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〇あらすじ
旧友・柏井が急死した。焼香に向かった主人公は、同じく旧友の都築栄一郎と久しぶりに再会する。聞けば、柏井は度々都築くんの家に訪れており、最期も彼の家だったという。共に語らおうと都築くんに誘われ家に行くと、「退屈だろうけど」と都築くんは自分の夢の話をしだした。3代続くエリート商社マンだった彼が、早々にリタイアするに至るまでの各国で見た幸せな夢と悪夢の数々…。たかが夢・されど夢に翻弄されながら、商社マンとしての人生を転がった都築くんの話に興味を覚えた主人公は、その後も都築くんの夢の話を聞きに彼の家に出掛けるようになる。
〇感想 ※ネタバレ注意
旅先や仕事先で宿泊時に『白い枕』を使うと幸せな夢を見て、『黒い枕』を使うと悪夢を見る…。その法則に気付いたあとも、「たかが夢なら、悪夢でもどんなものか気になる。見ておきたい」と思ってしまう都築くんの心情が、まさに『怖いもの見たさ」。でも…夢だもん、きっと見ちゃうよね。でも、夢の中に出てくるのは現実世界で関わる人物ばかり。思わず現実と夢の世界がリンクして、現実でも悪夢で敵だった相手を信用できなくなってしまって、結果夢など見なければしなかった選択をしてエリート街道から外れていくという、本当に「たかが夢・だれど夢」な怖い話。
現実と夢を絡ませてうまいことエリート商社マンの転落を描くなぁ…なんて思っていたら、最後に「あっ、そんな謎を隠してたのね!」って展開になってビックリします。そういえば、なんだか現実世界では祖父の話がほとんど出てこないのに、夢ではかなり重要人物だったりしてたけども…。最後、そんな風につながるわけ?と。
夢と現実の行ったり来たりも楽しいのですが、私が何よりうれしかったのは各国の描写。中でもパラオは、一刻も早く行きたい海外旅行先になりました。古き良き日本の姿を見たって書いてあって、興味津々。今も変わらないんだろうか、パラオでのんびりしたくてたまらない。商社マンならではの働き方が垣間見れて、そんな面でも面白かったです。