【体を殺すのと心を殺すのはどちらが悪いの?】Aではない君と/薬丸岳(講談社)

週初めの月曜日ですが、重い本。

Aではない君と/薬丸岳(講談社)

Aではない君と

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(2016/11/9 15:19時点)

〇あらすじ

吉永圭一は、バツイチの会社員。社内には恋人・美咲がいて、近々再婚することも考えていた。その恋人を含むメンバーで仕事の打ち上げで飲んでいるところに、5年前に別れた元妻・青葉純子とのひとり息子・翼から電話がかかってくる。電話に出られなかった圭一だが、「また連絡すれば良いー」…そう思って気に留めずに過ごしていた。

後日、仕事中の圭一の元に刑事がやってくる。「被害者の同級生や保護者から話を聞いているだけ」と説明されたが、その後殺された藤井優斗の容疑者として翼が警察に連れていかれたと純子から連絡が入る…。

 

〇感想 ※ネタバレ注意

タイトル読んだだけで「あ、これ少年犯罪の話だろうな…」とは思ってたんですよ。だって、「Aではない~」ってことは、名前出せない若さの子の事件だもんね。読んでから知りましたが、薬丸岳先生は、少年犯罪についてめちゃめちゃ書かれてる方なんだそうで、中でもこれはその答えなんだそうです。

殺人者は極刑に処すべきだ。親は子の罪の責任を負うべきだ。周囲は変調に気づくべきだ。自分の子供が人を殺してしまってもそう言えるのだろうか。読み進めるのが怖い。だけど読まずにはいられない。この小説が現実になる前に読んでほしい。デビューから10年間、少年事件を描き続けてきた薬丸岳があなたの代わりに悩み、苦しみ、書いた。この小説が、答えだ。  -Amazon内容紹介より

読んでみると…重い、重すぎる。被害者の親の気持ち、加害者の親の気持ち…、子供が加害者になった親の周囲の反応や、親自身の精神状態。どの立場からも詳細に書かれてて、且つ登場人物みんながとっても素直。正直な気持ちを吐露する場面が多くて、一つの事件を色んな角度から冷静に見ることができました。これって、現実じゃなかなかそうはいかないかな、と。

ブログタイトルのセリフは翼が父親である圭一に言うものなのですが、この言葉も重い。だけど実の親として、圭一が翼に言う答えも素晴らしい。少年犯罪について考えることのない人生が一番だろうけど、Amazon内容紹介にあるように、現実になる前に読みたい小説なのかもしれません。

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