恋愛ハウツー小説『恋愛勉強中。』番外編(ちゆきちゃんへのお手紙)
★恋愛勉強中。★番外編(ちゆきちゃんへのお手紙)
佐山ちゆきの名前モデル・ちゆきちゃんへ
お元気ですか?
ちゆきちゃんと出会ったのは、高校1年生の冬だったと思います。あの日、自分たちの試合は終わっていて、私の高校OBの学生コーチが、他校の試合の審判をしていました。バスケの審判は、2人。そのとき、コーチとともに笛を吹いていたのが、ちゆきちゃんでした。
もちろん、そのときには、ちゆきちゃんが同い年だなんて全く知りません。試合前、T.O(タイムはかったり、スコア書いたりする人たちのテーブル)の前で明るい茶色のロングヘアの女性が、髪の毛をポニーテールに縛りながら足首を回していて「キレイな人だな」と思いながら眺めていたことを覚えています。更に笑顔が素敵で、私は完全に一目ぼれ状態でちゆきちゃんのことを見ていました。試合中も、試合でも自分のコーチでもなく、ずっとちゆきちゃんを見ていました。私、ただの怖い女の子です。でも、そのときは、本当に「キレイだな」って思っていただけ。年上の女性を、言うならば芸能人を見ている感覚で眺めていました。
試合が終わって、私はコーチの元へ向かいました。「一緒に審判してた人、すごいキレイな人だったね!」と伝えたくて。すると、「さきと同い年って言ってたよ」と言われたのです。このときの衝撃っぷり、ハンパなかった。同い年だと!?
何度も何度も確認してから、それが嘘じゃないと分かった私は、ちゆきちゃんを追いかけました。確か、審判の待機場所みたいなところに向かおうとしているのを引き止めて話しかけたの。慣れてたのかな、あんまりビックリした感じでもなく、私の「すみません、いま高校1年生って本当ですか?」って声に、笑顔で「そうですよ」って答えてくれたんだよね。で、まったく意味が分からないんだけど「アドレス教えてください!」って言ったんだ。で、ケータイ持ってくるからちょっと待ってねって言われて、ケータイ持って現れてくれて、アドレス交換したの。
多少、私の記憶の中で美化されてる部分があるかもしれないけど出会いは、大体こんな感じ。あの頃の私、なかなかアグレッシブだなと思います。今だったら…どうだろ、できないだろうな。
メールは、さほど頻繁にしていたわけじゃなかったと思います。プライベートな話は一切しなくて、ただただバスケの話だけ。そのあと、試合で顔を合わせることもなく、約束して会うこともなく、ただ一度きりの出会いだったんだけど、私の中にここまで大きな存在感を残してくれました。
というのも、「こんな風になれたら良いな」と私が思った、数少ない女の子の一人だったから。どんな思いで笛を吹いていたのかは分からないけど、とにかく楽しそうで、きびきびと走って汗を流して、笑顔で笛を吹くちゆきちゃんが素敵だったから。その姿が、私の『働く女性』の理想像みたいに思えたんだよね。すごいな、素敵だなっていう、尊敬の気持ちを持っていました。
それから私は審判ルールの本を3冊くらい買ったんだけど、結局試験を受けることもなく諦めました。向いてないということもあったけど、色んな誘惑に勝てなかったんだよね。でも、だからこそ、「これを成し遂げたのか、あの歳で」っていう尊敬の想いが増していって1度きりの出会いから13年たっても、こうして鮮明に思い出せるんだと思います。
なので、おそらく性格は全然違う、この小説の主人公に、ちゆきちゃんの名前を借りたのは、あのとき私が感じた「この子、すごいな。こんな風になりたいな」って想いを込めて。今もなお、私にやる気をくれるほどのちゆきちゃんに出会えたことに感謝しています。届くことのない手紙も良いもんだ。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
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