恋愛ハウツー小説『恋愛勉強中。』12
★恋愛勉強中。★12
会社、出勤最終日。
「黒木先輩!」
「ちゆき、最後のあいさつまわり?」
「そうなんですけど…でも、ちょっとその前に、どうしても聞いてほしいことがっ…」
「なになに??」
おかげさまで、田中部長とも話ができて、会社での心残りもなくなった。引継ぎも終わって、会社や学生時代の友人への報告も順調だ。
その流れで、久しぶりにサークルの同期で飲み会をした。来るはずがないと思っていた健も来て、もう普通に話すことなどないと思っていたのに、昔のように仲良く話ができて嬉しかった。そしたら…
「おぉぉぉぉぉぉ!! 健くん、やるーーーーー!」
「いや、やるー!じゃないですよ…。 私としては、せっかく断ち切った気持ちが乱されて、しかも、こんな遠距離確定前に戻ろうとか言われてもだし、なんか、もうどうして良いのか…」
ちゆきからの手紙、嬉しかったよと言われて、一瞬何のことか分からなかったくらいだ。もう、健とのことは、過去のことになっていた。この1年弱、色んなことを学んで必死にやってきた結果なのかもしれないけど…。
「ほら、言ったでしょー! 復縁迫るのは、いまじゃないって!で、なんで悩んでるの? べつに、遠距離でもよくない?結婚しよう、行くな!とか言われたわけじゃないんだし」
「いや、それが…」
その前日。
「ちゆき、今日送別会終わったあと二次会しよう」
そう声をかけてきたのは、同期の田中和人だった。迷ったけど、このもやもやもなくしてから行きたいなと思って応じた。田中部長もそうだけど、田中和人も私にとってとても仲の良い男友達だったのだから。関係ないけど、田中って苗字の人と仲良くなるのかな、私。
「えぇぇぇぇぇぇー! 田中和人、再来ー! きたー!」
「ちょっ…先輩、フルネームを社内で叫ぶのやめてくださいっ!!!」
あれから、ずっと避けられてるのは分かってた、と田中和人は言った。ごめん、とも。でも、別に誰が悪い話じゃないし、避けたりして、私の方こそごめん、と言った。そういう趣旨の会なんだろうと思ってた。
「そうか、やっぱり田中和人は、ちゆき狙いだったんだね。そんな気がしてたよ!」
「先輩、だからフルネームやめてください…」
「まぁ、なるほどね。 で、ちゆきはどうしたいの?」
「いや、だからその、どうしたら良いかわかんなくて…」
嬉しかったのだ。田中和人との仲が戻ったことも、おかしな関係になってしまっていた私に話しかけ、きちんと「付き合おう」と言ってくれたことも。だから、とりあえず「考えさせて」と言ってみた。からの、翌日は、健からの『復縁しよう』って…!なんで! なんで、みんな今!!
「そうか。 ちゆきは、自分の軸を見極めるときなんだね」
「自分の軸?」
「そうそう。 会社入るときも、やるじゃない? 拘束時間や仕事内容、給料の高さだったり、休みのとりやすさだったり、女性だったら育休・産休制度がどうとか…。 全部、『自分が、どう働きたいか』っていう軸を決めてそこにすり合わせて会社検討してるはずなのよ」
「確かに、そうですね。 私は、仕事内容を重視してたかも」
「でしょ? 恋愛も、同じ。 自分が好きだと思う人追いかけたいのか、自分を好いてくれる人と安定した恋愛がしたいのか…。昔の彼氏と恋愛をやり直してみたいのか、新しい人との恋愛にかけてみたいのか!…それとも、日本でのここまでの恋愛は日本に置いて、何も考えずに海外から帰国したいのか!」
「恋愛の軸…」
「そう! 向こうで良い人見つかるかもしれないし、どの可能性にかけたいのか、考えてごらんよ。…にしても、楽しいねー 日本離れる前にモテ期きちゃって、帰ってきたら終わってるかもよー(笑)」
「先輩、怖いこと言わないでくださいー!」
仕事で自分の軸を決断したように、恋愛でも「どうしたいか」は自分次第なんだ。…って頭では理解したけど、恋愛勉強中の私にはまだ決断できないよー!
完
★自分の軸を見極める★
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