【ある男の人生をさかのぼっていく連作小説】ここは退屈迎えに来て/山内マリコ(幻冬舎)

『アズミ・ハルコは行方不明』を2度読んで以来、山内マリコさんの本にハマっています。

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ここは退屈迎えに来て/山内マリコ(幻冬舎)

ここは退屈迎えに来て

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〇あらすじ

私たちがすごかった栄光の話

10年東京で過ごし、地元にUターンして2ヶ月のフリーライター30歳。母がバッタリ出会った高校3年時の親友・サツキちゃんと連絡復興をキッカケに、同じく高校3年時の友達・椎名一樹と連絡をとる。

やがて哀しき女の子

タレントとして東京で活躍していた森繁あかねは25歳で地元に戻り、スターバックスの店員になっていた。かつてのあかねのファンだったスタバの同僚山下南とつるむ毎日。その後結婚したあかねに紹介され、28歳になった南は一つ年下の椎名一樹と付き合うようになる。

地方都市のタラ・リピンスキー

ゆうこはまもなく25歳。就職活動が嫌で大学院生になっていたが、研究室内での狭い人間関係が苦しくなり、ゲームセンターに行く日々。そこで、店長をやっている小・中学時代の同級生・椎名一樹と再会する。

君がどこにも行けないのは車持ってないから

23歳、フリーター。バイト上がりに遠藤が車で迎えに来ている。大阪に行ってしまった椎名と仲良くしていたからというだけの理由で、遠藤とはご飯に行きラブホに通う生活をしている。

アメリカ人とリセエンヌ

大学時代に出会った交換留学生のブレンダとクラブに行ったときに出会った椎名一樹。椎名に誘われてブレンダはデートに行ってしまう。

東京、ニ十歳。

椎名朝子は、大学生になったら東京に出ることを望んでいた。家庭教師のまなみ先生に憧れて、自分だけの居場所を持つことを目標に家族の反対を押し切って東京に出る。東京に出る日、連れ添ってくれたのは兄の一樹だった。

ローファー娘は体なんか売らない

学校指定のローファーの靴をはいて通う真面目な女子高校生は、時々学校まで迎えに来るハゲの中年とラブホテルに向かう。その帰り、家からも学校からも離れた場所で車から降りたところで、同じクラスの椎名一樹と出会う。

十六歳はセックスの齢

16歳の間になんとか処女を終わらせなくてはと決意した私と薫ちゃん。そのうち薫ちゃんは中学時代の憧れ・椎名一樹との夢を見ることに夢中になっていく。

 

〇感想

あらすじを読んでもらうとわかるのですが、短編小説で、その都度語り手の女の子は変わります。が、ある一人の男の子「椎名一樹」が必ず登場するという連作小説です。『潤一』っていう小説を思い出しました。

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山内マリコさんの作品は多くを語らないというか、「この子、名前はなに?」「それってどういうこと?」みたいな状況がときどき出てくるのですが、それが椎名一樹という一人の男性を際立たせる感じになってて面白かったです。

車がないと生活できないほどの田舎は住んだことがないけど、かなり閉ざされた世界になるんだろうなと思わせられます。

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