恋愛ハウツー小説『恋愛勉強中。』9

★恋愛勉強中。★9

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月曜、夜22時。

「ちゆき、まだ残ってたの!?」

別フロアで働く黒木先輩が、デスクの近くにやってくる。

「はい・・・。でも、黒木先輩こそ」
「私は、飲み会の帰りだよ!化粧ポーチ忘れたから取りに来ただけで、とっくに仕事は上がってる。こっちのフロアの電気がついてるの見えて、誰かと思ったら・・・。 忙しいの?」

正直、最近の業務量ハンパない・・・。でも、イージーモードがモットーな私にとって、『ここまで出来ません』って言うのは結構勇気がいる。

「ちゆきにとって、イージーモードに見せつつ、実は頑張ってることが正義?」
「意識したことなかったけど、そうなのかもしれません。実際、そうなっちゃってるし」
「ねぇ。 思ったんだけど、健くんともそういう付き合いしてたんじゃない?」
「え? どういう意味ですか?」
「つまりさ、『私、別にあなたのこと本気で好きなわけじゃないですよー』って見せておいて、でも実際はすごい大切に思ってて。そう見せておいたというか、本当に自覚がなかったのかもしれないけど・・・」
「・・・」

そうかもしれない。

仕事も恋愛も、『私、一生懸命です』ってアピールするのは悪いことじゃないと思うなぁ。認めて!認めて!って言うのは違うと思うけど、フルパワーで稼動してる姿を普通に人目に触れさせるのはアリじゃない?その上で、”本当に一生懸命かどうか” ”努力しているかどうか”っていうのは、見た方が判断すれば良いことでさ」
「はい・・・」
「しかも、正義に反することで悪いけど、ちゆきがフルパワー稼動してることって社内では有名だと思うよ(笑)」
「え!? なんでですか?」
「私、一応先輩だからね。 やっぱり、みんな私にちゆきのこと聞きに来るよ。もちろん、色んな見方があるけど、ちゆきが頑張り屋だっていうのは結構共通認識な気がする」
「本当ですか?」
「こんなタイミングでウソつかないよ、メリットないし(笑)普段からフルパワーで働いてるんだから、余裕がないときは人に甘えて良いんだよ」
「人に、甘える・・・」
「でも、そう考えると、健くんも本当は気付いてたかもね」
「え?」
「ちゆきが、本当は健くんを大切に思ってること。なのにそんな風には見せないし、甘えてもこないから、自分の存在意義が分からなくなっちゃったのかも」
「・・・そんなこと、ありますかねぇ」

あるかもしれない。

★余裕がないときには、人に甘える★

関連:恋愛ハウツー小説『恋愛勉強中。』10

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